証券コラム
2012/01/13 注目の情報
さあ辰年!ボラティリティに注目してエキサイティングな株取引を!
取引の原点、オークションの臨場感
読者の皆さま、あけましておめでとうございます。本年も「株財津ラボ」を昨年同様お引き立て賜りますよう、よろしくお願いいたします。
新年のご挨拶早々、2011年の話題で恐縮ですが、昨年末とある美術品オークションに行ってきました。今日では株取引もコンピューターシステムの中で電子的に行われていますが、ほんの十数年前までは売り手と買い手による「競り」が基本でしたよね。立会の緊張感やスピード感を久しぶりに肌で感じてみたいと思ったのです。
「850、850、900、前列の方、950、950、テレフォン入りました。950、950、よろしいですか」
まばゆい照明に照らし出されたステージの上には、競売にかけられている作品と、競りを取り仕切るオークショニア(競売人)、さらに現在の価格を示す電光表示板が掲げられています。300席ほどの会場はオークション参加者でいっぱい。オークショニアが発声する価格に応えて、パドル(参加者の番号が書かれたシャモジのような札)を上げたら、その金額で応札するという意思表示。応札者が1人になるまで、価格はオークショニアの発声で上がっていきます。
オークショニアが「テレフォン入りました」と言ったのは、会場外から電話でオークションに参加している人からのビットがあったということ。会場の左そでには電話で顧客とやりとりするスタッフがずらり。パドルを掲げているスタッフの口元の動きを見ると、明らかに海外からの応札のようです。緊張した面持ちで早口でやり取りしているのは、いくらまでなら応札するか、会場内で競りに参加している人の雰囲気はどうか、といった緊迫の内容でしょう。
「950、950、よろしいですか」
会場の空気がピンと張りつめます。その時、会場の後ろの方でパドルがすっと上がりました。
「1,000!」オークショニアの声のトーンが少し上がったように感じました。さっきの会場のパドルは上げられたままです。テレフォンブースのスタッフもパドルを掲げています。1点の作品をめぐる競争はふたりに絞られたようです。1,100、1,200、1,250、1,400と価格は上昇していき、1,500万円まで行っても2本のパドルは上がっています。
「1,550」オークショニアが次の入札価格を発声します。ふたりのパドルがいったん下がった後、会場参加者のパドルがもう一度上がりました。テレフォンブースの方はと見てみると、スタッフがさらに口の動きを速めた後、静かに首を横に振るのが見えました。
「1,550、1,550、1,550!」オークショニアは数字をゆっくり3回連呼した後、ハンマーを振りおろしました。作品が1,550万円で落札された瞬間です。時計で確認すると、この間わずか50秒ほど。美術品のオークション会場では、このようにして高額な美術品が競り落とされていきます。出点数の多いオークションでは300点以上の作品が3時間ほどで捌かれることも珍しくありません。
緊迫感とスピード感、そして冷静さ
応札した人の中で最も高い金額の人が落札する。これが競りの基本です。株式市場でも同じことがコンピューターシステムの中で瞬時に、しかも世界規模で行われているのです。ただし、美術品オークションの場合、ひとつ異なる点があります。それは競りの対象が世界中に1つしかない品物だということ。だから、その1点の所有権をかけて、ふたりの希望者の間で値段がつり上がっていったのです。
もしも、まったく同じ品物が2つあれば、オークションで競っていたふたりは、950万円の時点でそれぞれ作品を手にすることができたでしょう。落札者は、結果的に600万円も高い金額を払うことになったと感じる人もいるかもしれません。しかし、落札者はこの世に1点しかない作品を、1,550万円出しても手に入れたいと考えて応札し、その結果として落札したのです。だから、1,550万円という価格こそが、マーケットが下したその作品の価値であるという事実は動かせません。
逆に作品の出品者、つまり売り手の立場から見れば、950万円で落札されそうになったものが、1,550万円まで高騰したのですからガッツポーズでもしたい気分だったことでしょう。落札希望者が何人くらいいるかによって、落札価格は大きく変わる。これがオークションの醍醐味です。
同じようなことは株式市場でもよく見られます。どんどん値上がりしている銘柄に買い注文が重なって、さらに高値を付けていく状況です。美術品のような一点ものではないものの、市場に売りに出される株式の数には限りがあるので、売り注文をはるかに超える買いが入った場合、株価は予想を上回るような急激な上昇を見せるのです。いくら予想外の値動きであったとしても、その価格が厳然たる「市場価格」であることは、この場合も同様です。
ということは、取引される数量が少なくて、人気が出そうな銘柄を狙っていけば、利益の期待値も大きくなるということです。釈迦に説法みたいな話になりますが、ボラティリティ(変動率)が高い銘柄のデイトレードが、ひとつの狙い目になるということです。
株財津ラボの値上がり率ランキングを使えば、いま現在の高ボラティリティ銘柄をチェックすることができます。でもそれは、あくまでも現時点でのボラティリティ。今後も上がり続けるかどうかは分かりません。そんな時は株財津ラボの銘柄検索を使って、1ヶ月間の出来高や前日比を調べてみるのも方法ですよ。前日比が緑表示なら値上がり、赤表示は値下がりです。その銘柄がどんな条件で大きく動くのか調べていけば、株式投資の目の付けどころがちょっと変わってくるかもしれませんね。
昨年は、東日本大震災やタイの洪水の影響、歴史的円高による企業収益の変動、海外の金融市場の急激な環境変化に連動した世界的な株安など、株式市場が大きな動きを見せた年でした。チャートで見ればものすごいギザギザ模様ですもんね。しかし、ぐっと引いたところから眺めてみれば、変動の中にチャンスの芽がいくつもあったと見えてきませんか。
激動の相場だからこそ、冷静な目を。チャンスが大きそうだと思った時こそリスクに備える手当てを。
2012年、辰年。皆さまの株式取引が、天空を自在に飛翔する龍のように、エキサイティングかつ実り多いものになりますよう応援しております。
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